50代で小説を書き始めた理系三流研究者のBLOG

名もなき中年作家志望の長い長い旅路

【線型代数 #01】線型独立と行列式の関係

齊藤「線型代数入門」を勉強してますが,昨日勉強したp.23に以下の定理が載っていた.

ベクトル\mathbf{a}\mathbf{b}が線型独立  \iff  \mathrm{det}(\mathbf{a},\mathbf{b})\ne 0

筆者曰く「容易に確かめられる」とのことで説明が一切なかったので,確かめてみることにした.先ずは \Rightarrow だけ考えてみます.

パッとみた感じ, \mathrm{det}(\mathbf{a},\mathbf{b})\ne 0 を示すのがめんどくさそうなので,「 \mathbf{a}\mathbf{b}が線型従属  \Rightarrow \mathrm{det}(\mathbf{a},\mathbf{b})=0」を示せばいいかと思ったけど・・・

どうやらこれではダメらしい!

理由は「 Aならば B」という命題と等価なのは「 Bでないなら Aでない」つまり「 \bar{B}ならば \bar{A}」であって,「 \bar{A}ならば \bar{B}」は必ずしも成り立たないということだ.

最初なんだそれ?と思って戸惑った.

だけど,そういえば集合論を習ったとき(かなーり昔の話だけど),逆・裏・対偶の三種類があった.そして,最初の命題と等価なのは対偶だけのはず.

そのことか!と気づいた.

ううむ・・・しばらくぶりに数学を勉強すると,忘れてることが多すぎる.

今回はどう考えたか?

「ベクトル\mathbf{a}\mathbf{b}が線型独立  \Rightarrow  \mathrm{det}(\mathbf{a},\mathbf{b})\ne 0

と等価な証明をするには,

 \mathrm{det}(\mathbf{a},\mathbf{b})=0  \Rightarrow ベクトル\mathbf{a}\mathbf{b}が線型従属

を示せばいいというわけだ.本では2次元ベクトルで話が進んでいたので,2次元ベクトルで考えてよいだろう.

そこで,\mathbf{a}=(a_0,a_1)\mathbf{b}=(b_0,b_1)とすると,\mathrm{det}(\mathbf{a},\mathbf{b})=a_0b_1-a_1b_0 = 0であるわけで,それを用いて線型従属であることを示せばいい.

さらに,この本で(少なくともこの定理が出てきた段階では)線型従属の定義が「2つのベクトルが平行の場合」とさらっと述べているだけなので,平行であることを示せば線型従属と言ってよいだろう.

つまり,\dfrac{(\mathbf{a},\mathbf{b})}{||\mathbf{a}||\cdot ||\mathbf{b}||}=\cos \theta = \pm1であることを示せばよい(なぜなら2つのベクトルが平行ということはなす角\theta が0 または \pi ).

そうすると,

 (\mathbf{a},\mathbf{b}) = a_0b_0 + a_1b_1

||\mathbf{a}||=\sqrt{a_0^2+a_1^2}, ||\mathbf{b}||=\sqrt{b_0^2+b_1^2}

ルートもいやらしいので2乗して,(\mathbf{a},\mathbf{b})^2=||\mathbf{a}||^2\cdot ||\mathbf{b}||^2\cos^2 \thetaで考えてこれに代入する.

 (a_0b_0 + a_1b_1)^2 = (a_0^2+a_1^2)(b_0^2+b_1^2)\cos^2 \theta   ... (1)

左辺 =  a_0^2b_0^2 + a_1^2b_1^2 + 2a_0a_1b_0b_1

右辺 =  (a_0^2b_0^2 + a_0^2b_1^2 + a_1^2b_0^2 + a_1^2b_1^2)(1-\sin^2\theta )

移行すると,

 a_0^2b_1^2 + a_1^2b_0^2 - 2a_0a_1b_0b_1 = (a_0^2b_0^2 + a_0^2b_1^2 + a_1^2b_0^2 + a_1^2b_1^2) \sin^2\theta

 (a_0b_1 - a_1b_0)^2 = (a_0^2b_0^2 + a_0^2b_1^2 + a_1^2b_0^2 + a_1^2b_1^2) \sin^2\theta

となり,左辺は \mathrm{det}(\mathbf{a},\mathbf{b})=0のためゼロ!

したがって,

  (a_0^2b_0^2 + a_0^2b_1^2 + a_1^2b_0^2 + a_1^2b_1^2) \sin^2\theta = 0

となるわけで,これが成立するのは\sin^2\theta = 0のときのみなので,\theta = 0, \pi .つまり,ベクトル \mathbf{a}と\mathbf{b}は平行であるため線型従属である.

反対方向は?

反対方向\Leftarrow も同様に考えると,証明すべき命題は

 \mathrm{det}(\mathbf{a},\mathbf{b})\ne 0  \Rightarrow   ベクトル\mathbf{a}\mathbf{b}が線型独立」

なので,これの対偶を考えると,

「ベクトル\mathbf{a}\mathbf{b}が線型従属  \Rightarrow  \mathrm{det}(\mathbf{a},\mathbf{b})=0

となり,これを示せばOK.

まず,先ほどの(1)式においてベクトル\mathbf{a}\mathbf{b}が線型従属なのは,\cos \theta = \pm 1となるので,\cos^2 \theta = 1.これを代入すると,

 (a_0b_0 + a_1b_1)^2 = (a_0^2+a_1^2)(b_0^2+b_1^2)

 \therefore (a_0b_1 - a_1b_0)^2 = 0

したがって, a_0b_1 - a_1b_0 = \mathrm{det} (\mathbf{a},\mathbf{b}) = 0 となるわけで,こんな感じでいいのかな?

だけど,もっと簡単に線型従属であれば \mathbf{a}\mathbf{b} が平行なので   \mathbf{a}=t\mathbf{b} (-\infty < t < \infty) が成立するので,

 \mathrm{det}(\mathbf{a},\mathbf{b}) = \begin{vmatrix} tb & b \\ td & d \end{vmatrix} = tbd - tdb = 0

で終わり.この方が簡単だな.

今日の気付き:命題の等価性は対偶でのみ成立する

集合論の基本ですけど完全に忘れてました.今後も何か証明が出てきたときは注意することにします.

まだ「第1章 平面とベクトル空間」が終わらないので,もう少し続きます.次はベクトル積になりそうです.

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